ビタミンDは脂溶性で、熱にやや安定、酸化されにくいせいしつがあります。紫外線に当たると体内で合成されます。ビタミンDは、骨の形成にかかわりの深い脂溶性のビタミンです。骨の材料となるカルシウムやリンが充分にあったとしても、Dが不足すると満足な骨はできません。ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を助け、血中濃度を一定に保ち、骨や歯への沈着を促す・カルシウムの骨からの溶出と骨への蓄積を調整し、腎臓での再吸収を助ける・筋肉の機能をよくする・ビタミンAの吸収を助けるという働きがあります。1日2万IUを長期間とると毒性があらわれることがあります。子どもの場合は1800IU 以上で、吐きけ、下痢、脱水症状をおこすほか、血管壁、肺、腎臓、胃などにカルシウムが 沈着する。体内に入ったDは、まず肝臓と腎臓で活性型のビタミンDにつくりかえられます。活性型ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収をよくし、輸送にはたらき、カルシウムが骨に沈着するのを助けます。ビタミンDはカルシウムの動きを調節しています。カルシウムの99%は骨にあります。 残りの1%は血液や筋肉などにあり、筋肉を収縮させるなど重要な生理作用を担っています。この作用に支障をきたさないように、カルシウムの摂取量が少ないと骨から補われ、 多いと骨に蓄積されます。各種ホルモンと協力して、骨からカルシウムを取り出すのがビタミンDです。また、カルシウムの摂取量が少ないとき、尿中に排出されないように再吸収させる役目も担っています。ビタミンDが不足すると、大人では骨軟化症になり、子どもではくる病になります。歯を支える下あごの骨も弱り、歯がぐらぐらします。閉経後の女性や高齢者は骨粗鬆症も心配です。また、ビタミンDとカルシウムのとり方が少ないと、血管へのカルシウムの沈着が多くなるという報告があり、動脈硬化も心配です。大量にとった場合も血管壁や臓器にカルシウムが沈着しやすくなります。よく日光に当たっている人なら、それほどD不足の心配はいりません。そもそもビタミンDは、くる病が日光に当たらない人に多いことから発見されたビタミンです。コレステロールを材料に、紫外線によって皮膚で一部合成されます。肌を老化させたり、皮膚がんの原因になったり、なにかと嫌われ者の紫外線ですが、若干の紫外線は必要です。ただし、わざわざ紫外線を浴びる必要はありません。紫外線の害のほうが大きく、普段の生活で浴びる紫外線で十分なので、日光浴は100害あって1里なしといわれています(10年ほど前までは日光に当たる事がすすめられていましたが...)。Dには植物に含まれるD2と動物に含まれるD3があり、はたらきに差はありません。最もビタミンDを多く含む食品はほとんど動物性なので、おもにとっているのはD3です。紫外線によって、皮膚で脂肪からつくられるのもD3です。日光に当たる機会の多い人は、必要量の半分以上はまかなえていると思 ってよいでしょう。スモッグの多い地域やビルの谷間、冬季日光の弱い地方の人はあまり 期待できません。1日中ビルの中ではたらき、休日も家でごろごろといった生活スタイル の人も、ほとんど日光に当たる機会がありません。子どもたちに骨析が多くなったというのも、太腸の下で遊ばなくなったことが一因しているかもしれません。思いあたる人は 、食事からの摂取を心がけるとともに、日光浴の機会をふやしましょう。とはいえ、真っ黒に日焼けするとDの合成能力が落ちますから、ほどほどが肝心です。ビタミンDはどの年代においても大切ですが、特に多く必要なのが妊婦や授乳婦、6歳までの幼児で、いずれも所要量は通常の4倍の400IUです。7歳以上になると、D不足によるくる病が発生しにくいため通常の所要量と同じです。骨がすかすかになって骨析しやすくなるのが骨粗髪症。高齢者や閉経後の女性には恐い病気です。所要量はというと、 特に多めに定められてはいません。高齢になってから慌てても手遅れなのでしょうか。そんなことはありません。最近、カルシウムとビタミンDの充分な摂取が骨粗髪症の予防ぱかりか、治療にも有効であることを示す研究結果が相次いで報告されています。85歳という高齢の女性に、1日にビタミンD800IUとカルシウム1200mgを1年半、毎日服用させたところ、骨密度が増加し、骨析頻度が少なくなったのです。予防を心がけるのはもちろん大切ですが、すでに骨粗髪症が心配な年齢の人には朗報です。
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