β−カロチンは体内で必要量だけビタミンAに変わり、残りは体内に蓄積されま す。Aに変換されないβ−カロチンには独自のはたらきがあり、活性酸素の害を防いでがんなどを予防することがわかり、脚光を浴びています。ビタミンAには過剰症が有りますが、β−カロチンは多量にとっても肌が黄色っぽくなるぐらいです。β−カロチンは体内で生じる活性酸素からからだを守り、発がんを予防するといわれています。呼吸で体内に取り入れる酸素のうち、2%ぐらいが活性酸素になります。活性酸素はたいへんな暴れもので、からだのあちこちを酸化し、傷つけ、老化を早めたり、がんを誘発します。人のからだには、活性酸素に対抗する酸化防止システムが幾重にもはりめぐらされています。しかし、この巧妙な酸化防止システムも年とともにはたらきが弱まります。そこで、食べ物から摂取できる抗酸化物質に期待が寄せられているのですが、β-カロチンもそのひとつです。β−カロチンの摂取量が少ない喫煙者の肺がん発生率は、摂取量の多い喫煙者の7倍という結果が出ています。活性酸素を消去するβ−カロチンの作用には、悪玉コレステロールを減らす効果もあります。「悪玉」と呼ばれ、すっかり悪者扱いされているLDLコレステロールですが、「 悪玉」になるのは活性酸素に酸化されるからです。LDLコレステロールが酸化されると 過酸化脂質になります。これがやがて血管の内壁に沈着して、動脈硬化をひきおこし、狭心症や心筋梗塞などの原因ともなります。LDLコレステロールの酸化防止に強く働くのが、β−カロチンとビタミンEです。アメリカで行なわれた研究によると、心臓の悪い患者のうち、半数にβ−カロチンを与えたところ、与えない患者に比べて、心筋梗塞の発生が少なかったという結果が出ています。 緑黄色野菜を積極的に食べると同時に、ビタミンEも併せてとり、心臓病の予防に役立てましょう。
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